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第三章 ヒツ穴が玄能の要
・ヒツ穴の形状 (2)



ヒツ穴は何故長方形なのでしょうか。

長丸ではダメなのでしょうか。


鍛金用の槌では、

ヒツ穴が長方形ではなく、

楕円や長丸のものが存在しますが、

その理由は明けやすいからなのではないかと推測します。


火造りでヒツ穴を明けるには、

材料を熱した状態(約1,000℃)で目打ち金を表裏両面から穿つのです。

当然目打ち金は高温に晒され、

軟らかくなってしまいます。

たとえどんなに長方形に精度を出して成形した目打ち金を使用しても、

変形して角がだれやすいのですが、

最初から角のない丸や楕円、

若しくは長丸であれば、

だれる心配は少ないのです。

ヒツ穴を単に「木柄を仕込む穴」と考える鍛冶作業者であれば、

出来るだけ簡単に穴を明ける方法を選んだはずです。

そうであれば、

丸や楕円、

若しくは長丸で明けることでしょう。


私は今迄に多くの鍛金槌を見てきましたが、

ヒツ穴が精度高く明けられているものを見たことがありません。

ただ単に明いているという精度の低いものが、

圧倒的に多かったのですが、

理由はそのせいだと思います。
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今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
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